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2008年3月 3日 (月)

公と私の狭間で

何とも難しい話です。



「娘の意識がない!」。妻の悲痛な叫びを電話で聞いた定年間近の救急隊長が、救急車で管轄外の自宅に向かい、娘を病院に搬送した。当直指令の許可は受けていたが、消防本部は職務規定違反とし、免職に次いで重い停職6カ月の懲戒処分を下した。この判断をめぐり市当局には賛否両論多数の意見が寄せられ、インターネット上でも激しい議論が続いている。

 神奈川県藤沢市消防本部によると、南消防署苅田出張所所属の救急隊長(59)は先月19日夕、約3キロ離れた隣接する茅ケ崎市の自宅の妻から、持病を持つ20代の二女の急変を知らされた。

 当直主幹の許可を得て、隊員2人を乗せサイレンを鳴らし自宅へ急行。約3分で到着し、意識がなくなった二女を搬送、10分後に病院に到着した。所属救急車は1台だったが、6時35分に出張所へ戻るまで出動指令はなかった。

 この行為に市消防本部は、地方公務員法の「法令等および上司の職務上の命令に従う義務」違反、「信用失墜行為」に該当すると判断。市の懲戒規定に従い隊長を停職6カ月(実際は3月末退職までの42日)、許可した主幹を戒告とした。だが、これに普段は公務員の不祥事に厳しいネットユーザーが反応した。

 「他の救急要請をほったらかしにしたのなら非難もあるだろうが、これは家族でなくとも出動すべき事例だ」「自分がその立場に置かれたらどうするかを考えろ」「厳重注意のうえ罰則は仕方ないが、定年間近に6月の停職は重すぎ」

 逆に、「1台しかない救急車を私的利用。同僚も公務を放棄して同乗し、管轄外の地区に出向いた。処分は当然」「普通に119番した方がどう考えても早い。プロ中のプロが娘のみならず、藤沢市民をも命の危険にさらしたという、希に見る不祥事」と処分容認派も登場、議論はいまも続いている。藤沢市にも、同様の意見が多数寄せられているという。

 思わぬ騒動に直面した藤沢市消防本部総務課は、処分の決断について次のように説明する。

 「日本の救急はすべて、生命の危険にさらされた患者さんのため1分1秒に命をかけています。指令の『出動許可』は『出動命令』ではありませんし、(隊長の自宅がある)茅ケ崎市にも消防本部がしっかり組織されています。当市として救急活動を行うケースでもありませんでした」

 さらに、「処分の重さは何とも申し上げられませんが、違反は違反。通常通り通報するのが最も早い手順。(隊長は妻に)冷静に『まずは119番しろ』と指示するべきでした」(総務課)。

 別の市幹部は、定年目前の大ベテランに重大な処分を下すにあたり、相当な葛藤(かっとう)があったことを明かす。

 「隊長はこれまで処分歴もなく、40年以上もまじめに奉職してきました。その最後の最後を停職で終わらせるのは何ともねぇ。職員の間でもいまだに賛否が渦巻いてますよ。人間は機械じゃないんだし、こういう人より先に処分すべき公務員は、全国にもっと大勢いると思いますけどね…」

 救急隊長は、「動揺していた。救急のプロとして迷惑をかけ、本当に申し訳ない」と反省し、処分が決定した今月19日付で依願退職した。



全体の奉仕者としての職務を命じられている公務員が、私的にその職権を行使することは許されないことです。この救急隊長は冷静に「管轄が違うのだから茅ヶ崎の消防本部に119番しろ」と言うべきだった・・・という理屈は、そのとおりです。

公務員にある人は、大なり小なりこういった意識を平生から持っているでしょう。例えば教職員ならば「もし、私の子供が勤務先に入学してきたら・・・」。警察官ならば「仮に私の子供が事件に巻き込まれたら・・・」。その意味で、この救急隊長は心構えが足りないという理屈も確かにそのとおりでしょう。




ただ、私も子を持つ親として、この救急隊長の気持ちは痛いほどわかります。

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